べたべた素材をいじくりまわさない。丁寧な丁寧な下処理は、既にすんでいる。
注文が入ったら、準備万端の素材たちが的確な温度で炒められ、味付けされるだけだ。
いまあなたがお腹が空いていて、まっとうな物をまっとうに食べたいのであれば、
このお店を紹介します。
開業50年近いこの店の、お父さんお母さんのリズムの中で、
わたしたちはただうまい飯を食べればいいだけ。
毎日煮出されているほうじ茶を料理の合間に飲みつつ、舌鼓をうちましょう。
LIFEKU/遠藤知絵
月別アーカイブ: 2016年1月
粥 大嚙麵
その手から感じること
嗚呼、この手だ・・・!
ホームページに映し出された ” 包丁を持つ手 “には、確かに見覚えがあった。霜焼けしたように赤く、普通の人の2倍はあろうかという太い指、パツンと腫れ上がったその手は、まぎれもなくマスターの手だ。
学生時代、金源ビルの厨房でアルバイトをしていた私は、マスターの腫れた手を見て驚いた。何十年もの間、厨房に立ち、何をも厭わず水仕事をしてきた ” 料理人の証 ” だという。しかもその手はただ大きいだけではない。人参に飾り包丁を入れ、餃子の大きさもヒダもすべて同じに包む、器用で繊細な手でもあるのだ。「野球ミットのようですね!」などと失礼なことをいう私に、「そうだ!売ってる手袋が入らねえんだぞ!」と言って大きく笑うマスターと、それを笑って見守る奥さんの顔は何だかとても誇らしげであった。
福島を離れて25年、大学生だった私も今では子育てに追われる ” おばさん ” である(笑)。その長き間、マスターと奥さんは来る日も来る日も料理に向かい、御歳は召しても(失礼!)変わらぬ料理人の誇りをもって王芳を守ってきたことを、その手が物語ってるように思う。マスターと奥さんの「無言のメッセージ」に、私は胸が熱くなった。
あの味と二人の笑顔に会いに、また王芳に行ってみよう。
k・k
ソバ作りは3分だがんない!
今から40数年前、文化道り近くの新町ビルに店舗があった時の事、昨今と違い
携帯電話などはなく、各通りには赤い公衆電話が手軽に利用出来る間隔でたちならんでいた。
すずらん通りと呼ばれていた現在のパセオ通りの角を曲がり、文化通りを抜け、
当店へ辿りつくのに4~5分ぐらいはかかるかな~?
リーン リーン 突然店の電話のベルが鳴る。
あの曲がり角にある公衆電話からオーダーが入った。K、W、氏からだ。
店主は急いでソバ作りにかかる。
間もなく店の玄関から ” チィーン ” と言う声とともに椅子にかける K、W.氏。
” ハイ お待ち ー! ” 間髪を容れず、ソバが目の前に。 出されたソバを美味しそうにすすり、汁を飲み干す。
お互いのタイミングの良さを、彼は今でも得意気に楽しそうに話す。(もしかして彼は、4,5分を小走りに急ぎ足で来たかもしれないな~?)
店主は、「オレは、電子レンジでねぇ~んだがんない!」と言い笑い合う。
「これからも、まだまだ付き合ってもらうがんない!」
「覚悟してない!」
「ソバ作りは3分だがんない!」 新町ビル、創業当初の店内。
新町ビル、改装後の外観と、店内。
蒸籠餃子 廣東湯麺
冬大根の山椒漬け
☆材料
大根 ・・・ 二分の一本
塩 ・・・ 30g
醤油 ・・・ 70cc
砂糖 ・・・ 60g
粒山椒 ・・ 小さじ 1
1、大根は皮を引き拍子切り(1 × 4~5㎝)にし、塩をふり重石をして2日ぐらい
漬けこむ。
2、漬けこんだ大根を取出し、水に浸して塩抜きをする。(完全に塩気を抜く)
3、ザル等に広げ天日で2,3日干す。(大根の水分を極力抜く)
4、ボールに全ての調味料を入れ、干した大根を漬けこむ。時々上下を返し味を全体に
しみ込ませる
5、2日ぐらい漬けこんでから、粒山椒以外の調味料を捨てて出来上がり。
器に大根漬けを盛り付け、山椒をちらし供する。
◎ 一言
※ 大根の天日干しを充分にする事により、よりパリパリとした食感になる。
※ 味付けは、好みに応じ加減する。
ジャングイの一言
魚香茄子 什錦炒麺
中国料理4000年、王芳45年!
あのころも今も、いつも変わらない 「本当に美味しい!!」を。