=等同

葱のあたま青いところを洗って、にんにくと生姜を包丁の背で潰す。
スープを仕込み、自分がチャーシューをつくるだなんて、思ってもみなかった。

出張に出掛ける。数多く並ぶサンプルの服から、
「あの人はこれかな?サイズ感もいける、大丈夫。」
「オレンジは差しで、ヤマ付けるのはやっぱりNavy。」
「このシャツの隣に置くべきは、このデニム。合わせる靴はどれにしよう?」

私の仕事は、服屋である。店頭に並ぶ服は、半年前の出張で決めている。

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 『仕込みが大事よ。菜単(ツァイタン)にあるものは、何でも作れなくちゃあ、困るろ。
お前等の洋服の仕入れと一緒よ。すべては段取りさァ。』
そう、ジャングイは言う。

これまで、「ものづくりをするひと」が最上だと思っていた。その出来上がったものを選ぶのが、
わたしの仕事。ものがなければ売れないし、そもそも作ってもらえなければ選べない。
そう思っていた。

しかし、御山のイタリアンLa Selvaticaの安斎氏や、ジャングイと話して価値観がぐるりと変わった。
料理人はマジシャンではない、いかにそのものに向き合うかが大事だと。

彫刻家が素材を生かすように、料理人は動く。仕込む。その手を走らせ、段取りをする。

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わたしが料理をするようになったのは、この店の影響である。
仕込みと仕入れは、等しい。

さて、ジャングイに教えてもらった大根をつけなくっちゃ。
天日干しが肝心。

すべては段取りである。

PICK-UP/田中 栄